【静岡大学連携】静岡県川根本町久野脇 庭の木プロジェクトについて【概要説明】

【静岡大学連携】静岡県川根本町の久野脇「庭の木プロジェクト」とは

「そういえばこの道具,おじいちゃんが昔使ってたっけ」とか「このお菓子、母が子供のころ祖母と一緒に作ったって言っていたような…」とか、当時は何気なく聞いていたことが、時を経て、当人不在の今になって初めて「何でもっとしっかり聞いておかなかったんだろう…。」と残念に思い出されることがあります。あまりにも「当たり前」の生活であったからこそ、記録には残らないということが多々あるのです。

 私たちが久野脇のおじいさん、おばあさんを訪ねたときもそうでした。「しゃべることは何もないよ」。でも,目の前にくだものの木を置いて問いかけ始めると、ポケットに果実を忍ばせて遊びに行ったこと、渋柿が熟しになるのを見計らってこっそり木登りをして採ったこと等々、目の前に腕白坊主が現れて、くだものの事はもちろん、それと関連した当時の久野脇の、今のように物質的には豊かではないものの、充実した生き生きとした生活を語りだしてくれるのです。

 そんな昔の不自由な生活を「いいなぁ」と思うだなんて夢にも思いませんでしたが、確かに心がきゅん。とまあるくなり、私もそういう経験をしたいなぁ…と思ってしまったのです!

これこそ「聞き書き」の魔力です。

 茶畑と大井川に囲まれた久野脇の今の景色も確かにきれいです。でも、それは久野脇の魅力のほんの入り口。時代の変化とともに忘れ去られようとしている、普通の人々のくだものと共にある暮らしの語りを知り、当時の活動に思いをはせながらこの景色を眺めなおしてみると、ここでの営みそのものが美しさの源であったと気づかされます。

「もう一度、おばあさんと同じ体験をしてみたい!」「あの干し柿、私も食べてみたい!」大歓迎です。語りに登場するくだものの木がそのまま残されていることもあるのですから。

 ここに登場するのは豊かな語りのほんのさわりだけ。実際に訪れて、同じ空間の中で時間の重層性を楽しむとともに、さらに充実した内容をまとめた聞き書き本(2021年出版予定)を読んで、あなたのお気に入りのくだもの、住人エピソードを見つけ、久野脇の魅力を丸ごと味わってください!

くのわき庭の木

くのわき庭の木の種類

くのわき庭の木マップ